2019年、金融庁が老後20~30年で約2000万円不足するという
試算を公表し物議を醸しましたね。
あくまでモデルケースの場合ということで
すべての人が当てはまるわけではありませんが、
早いうちから準備するに越したことはないでしょう。
この記事を皆さんの資産形成に役立ててください。
老後2000万円問題とは
老後2000万円問題とは、金融庁が2017年の高齢夫婦無職世帯の
平均収入と平均支出から資産した結果です。
報告書によると、毎月の平均収入から平均支出を引くと
5.5万円の赤字になることから、老後の人生を30年間とすると
5.5万円×12カ月×30年で約2000万円不足するというものでした。
あくまで平均を使って試算しているので
すべての人に当てはまるものではないということです。
とはいえ、これまで老後について考えてこなかった人々に
資産形成について考えさせるいい契機となったのではないかと感じています。
ちなみに、同様の計算を2020年のデータをもとに行なうと30年間で
55万円不足するという結果になるようです。
コロナ禍によってレジャーなどの支出が大きく減った影響もありますが、
これだけ大きく変動してしまうので2000万円という数字に踊らされるのはナンセンスです。
ただし、楽観視していいというわけではありません。
老後は現役時に比べ収入が減ります。
ここで収入に合わせて支出をコントロールするか、
不足分を何かしらで補填しないと老後破産に陥りかねません。
自分がいくら不足するのか試算する
2000万円貯めなければならないと思うと、
金額の大きさに不安を感じることでしょう。
まずは自分がどのくらい老後資金が不足しそうなのか
試算することから始めてください。
試算するうえで必要になるのが、毎月の収入と支出です。
収入とは年金受給額のことです。
国民年金と厚生年金(会社員の場合)の合計ですね。
国民年金は
781,700円×保険料納付済み月数÷480÷12
で毎月の受給額を計算できます。
厚生年金の計算方法は納付月数に加えて、
収入金額によっても受給額が変わります。
詳細な金額は年金定期便やねんきんネットを確認してください。
そして支出は現在の生活を継続すると仮定して今の支出を使いましょう。
ご自身が今どのくらい支出しているか把握できていますか?
できていないという方はまずは家計の把握から始めなければなりません。
収入と支出がわかったら収入-支出を計算してください。
毎月の不足額がわかります。
この時点で不足がなければあなたは年金だけで生活することができます。
一方で、収入が不足するという方は何らかの対策を講じなければならないでしょう。
もちろん、今の生活を続けたと仮定した場合なので、支出が減れば不足額も減ります。
次に不足金額×12カ月×30年を計算しましょう。
引退後、30年間で総額どのくらい不足するか算出できます。
いかがですか?
2000万円に比べて多い人、少ない人さまざまかと思いますが、
その金額があなたの老後生活で不足するかもしれない金額です。
老後資金の備え方
ようやく目標が見えてきましたね。
ご自身で計算してみて、2000万円という数字がいかに独り歩きしていたかわかったでしょう。
もしかすると、不足額が2000万円以上になってしまった方は
老後の生活は生活水準を落とすか、気合を入れて準備しなければなりません。
それではここからどうやって不足額を補うのか老後資金の備え方を3つ提案します。
備え方1:定年後も働き続ける
備え方2:貯金で蓄える
備え方3:運用して増やす
それぞれ次の項で解説します。
備え方1:定年後も働き続ける
もし定年後でも働き口、働く気力、体力があるのであれば、
定年後も働き続けるというのが有力な選択肢になるでしょう。
完全に引退して悠々自適な生活を送るということはできませんが、
最もシンプルな方法です。
毎月の不足分の収入が得られればいいわけですから、
現役時代ほどガツガツ働く必要もありません。
余裕があれば収入から貯蓄し、
不足分が貯まったら完全引退することも可能です。
備え方2:貯金で蓄える
定年後は引退したい場合は不足額を定年までに貯めなければなりません。
定年までの年数で不足額を割れば年間で貯金しなければならない金額が算出できます。
これまでお金はあるだけ使ってきた人にとっては貯金するということは
たやすいことではないかもしれませんが、運用するよりもリスクは低いです。
また、引退までの残り年数が少ない方(10年未満とか)であれば
わざわざリスクをとって運用する必要はありません。
運用はリスクがつきものです。
長期になればなるほど成功確率が上がります。
一方で、短期的には見通しを立てるのが難しいです。
したがって、貯金で目指せる金額ならあえて運用しないという選択もあります。
備え方3:運用して増やす
定年までまだ十分時間があるという方(20年とか)は貯金だけでなく、
運用して増やすことも考えましょう。
運用していると毎日資産が増えたり減ったりしますが、
長期的に見れば緩やかに資産が増加します。(もちろん銘柄選びも重要です)
さらに複利の効果によってかなりの資産を作ることができます。
また、運用した方がいい理由の一つとしてインフレ対策があります。
インフレとはお金の価値が減っていくことです。
例えば、今日100円で買えたジュースが10年後には110円払わないと買えないといった状態です。
同じ100円でも今と10年後では買えるものが変わってしまうんです。
これは長期になるほど影響が大きくなるので、
何十年も現金だけで蓄えているとインフレに負けてお金の価値が減ってしまいます。
あなたに時間があるのであれば運用してお金にも働いてもらいましょう。
最後に
2000万円という数字だけが独り歩きしてしまい不安になっていた方もいたことでしょう。
しかし、冷静に自分の場合に置き換えて試算してみると十分備えられそうではありませんか?
あなたの年齢次第ではありますが、今から行動すれば老後破産は回避できます。
提案する備え方は一つしかやってはいけないというものではありません。
組み合わせて実行することでそれは強固な老後対策となります。
ご自身の状況、価値観に合わせてチューニングしてください。